メルカダンテ:歌劇≪見棄てられたディドーネ≫
メタスタージオが書いた台本『見棄てられたディドーネ』は、18世紀のイタリアで高い人気を誇り、何十人もの作曲家が曲を付けました。その中ではバロック期のヴィンチの作品が良く知られてますが、このメルカダンテの作品はロッシーニと同時代に書かれたもので、ベルカントを用いた作風はヴェルディへと続く革新性を感じさせます。この上演はメルカダンテのスコアを綿密に研究した上で、演奏スタイルを忠実に反映させ、流麗な旋律を存分に味わわせてくれます。主役のディドーネとエネアスを共に女性が演じることで倒錯した魅力を放つのもこの時代の特徴と言えるでしょう。もちろん取り巻く男声陣も素晴らしい歌唱を聴かせます。演出は2019年でベルリン州立歌劇場を去ることが決定した鬼才ユルゲン・フリム。歌劇場が違っても独自のユニークな演出は健在であり、この上演では凝った装置を用いてディドーネの激しい情念を描き出しています。アレッサンドロ・デ・マルキの入念な指揮から生まれる快活な音楽も魅力的です。
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